「ダイエット中なのに思うように進まない」「寝不足の日は食事の選び方が変わる気がする」と感じることはありますよね。
睡眠と体重管理には関連が報告されています。ただし、体重の変化には食事、身体活動、体調、生活環境などさまざまな要素が関わるため、睡眠不足だけを原因と決めつけることはできません。
① 睡眠と体重管理は一つの原因で説明できない
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、短い睡眠時間と肥満などの健康リスクとの関連が示されています。
これは、睡眠不足だけで個人の体重増加を説明できる、という意味ではありません。食事内容や食事量、身体活動、年齢、体調なども含めて考える必要があります。
睡眠は、体重管理に関係する生活習慣の一つです。「睡眠を改善すれば痩せる」と考えるのではなく、生活全体を見直す一項目として扱いましょう。
② 食欲や食事の選び方への影響
睡眠を制限した研究では、空腹感や食事量、食べたいものが変化したとする報告があります。一方、すべての人に同じ変化が起きるわけではなく、研究結果にもばらつきがあります。
食欲に関わるグレリンやレプチンについても、短い睡眠との関連を示す研究がある一方、ランダム化比較試験をまとめたレビューでは、平均的な変化について強い根拠が確認されていないものがあります。
「寝不足ならグレリンが増え、レプチンが減る」と一般則にはできません。寝不足の日に食事の選び方が変わる場合は、その日の食事や活動と一緒に振り返る材料にしましょう。
眠気やだるさだけから血糖値の状態を判断することもできません。食後の眠気や血糖値について詳しく確認したい場合は、食後に眠くなるのはなぜ?血糖値との関係と食事・生活習慣を整理をご覧ください。
③ 睡眠時間と睡眠休養感を振り返る
成人に必要な睡眠時間には年齢や個人による違いがあります。厚生労働省の睡眠ガイドでは、成人は6時間以上を目安として、必要な睡眠時間を確保することが示されていますが、全員に同じ時間が十分という意味ではありません。
時間だけでなく、朝に「睡眠で休養がとれている」と感じられるかという睡眠休養感も、生活を振り返る手がかりになります。
「毎日8時間でなければいけない」と固定せず、日中の眠気や生活への影響も含めて、自分の状態を確認しましょう。
④ 生活リズムを整えるための工夫
睡眠を見直すときは、特別な商品よりも、まず毎日の過ごし方を確認します。
起きる時刻を大きくずらさず、起床後に明るい光を取り入れることは、生活リズムを振り返る基本の一つです。
体調に合わせて日中に身体を動かし、座りっぱなしを減らすことも生活習慣を整える選択肢です。
就寝前はスマートフォンなどの強い光を長時間浴び続けないよう意識しましょう。特定の時間を全員の必須条件にする必要はありません。
寝不足の日に食事や活動のパターンが変わる場合は、睡眠だけでなく一日の過ごし方を一緒に振り返ります。
寝不足の日に活動しにくいと感じる人はいますが、「寝不足なら活動量が下がり、必ず太る」という一本道ではありません。無理なく続けられる範囲で、睡眠・食事・身体活動を調整してください。
⑤ 睡眠習慣を振り返る
次の項目は、病気や睡眠不足を判定するチェックではありません。画面を見る環境や生活習慣を振り返るために使ってください。
- 実際の睡眠時間は、自分に必要な時間を確保できているか
- 起床・就寝時刻が日によって大きく変わっていないか
- 朝に睡眠で休養がとれている感覚があるか
- 日中の眠気が仕事や家事に影響していないか
- 就寝前に画面の強い光を長時間見続けていないか
- 寝不足の日に食事や身体活動のパターンが変わっていないか
当てはまる数で診断するものではありません。できるところから一つずつ見直し、続く不調はセルフケアだけで抱え込まないことが大切です。
⑥ 医療機関へ相談したいとき
次のような状態がある場合は、健康食品などで自己対応を続けるのではなく、医療機関へ相談する選択肢があります。
- 眠れない状態が続いている
- 日中の強い眠気がある
- 睡眠の問題が仕事や家事など日常生活に影響している
- いびきや睡眠中の呼吸停止を指摘された
- 睡眠時間を確保しても、休養がとれた感覚が乏しい
健康診断で血糖値などを指摘されている場合や、糖尿病などで治療中の場合も、眠気や体重変化をこの記事だけで判断せず、主治医等の指示を優先してください。
⑦ まとめ|睡眠・食事・身体活動を一緒に考える
睡眠不足だから必ず太るわけではありません。一方で、短い睡眠時間と肥満などの健康リスクとの関連は報告されており、睡眠は体重管理に関係する生活習慣の一つです。
寝不足の日に食欲や活動のしやすさが変わる人もいますが、反応には個人差があります。成人に必要な睡眠時間にも個人差があるため、時間だけでなく睡眠休養感や日中の状態も確認しましょう。
みおのまとめ
睡眠だけで体重変化を説明せず、食事・身体活動・休養を一緒に振り返るのが基本です。睡眠の不調が続くときや生活に支障があるときは、医療機関への相談も検討してください。
参考情報
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」PDF
- Effects of sleep restriction on metabolism-related parameters in healthy adults: A comprehensive review and meta-analysis of randomized controlled trials
- Associations of short sleep duration with appetite-regulating hormones and adipokines: A systematic review and meta-analysis
- Effect of sleep duration on dietary intake, desire to eat, measures of food intake and metabolic hormones: A systematic review of clinical trials
研究の対象や条件はそれぞれ異なり、食欲やグレリン・レプチンに関する結果は一貫していません。個人の体重変化や食欲を一つの研究結果だけで判断できない点に注意してください。
睡眠とダイエットの関係は、一つの原因と結果だけでは説明できません。睡眠・食事・身体活動を切り離さず、自分の生活を振り返る材料として整理してみましょう。
眠れない状態や強い日中の眠気が続くときは、無理に自己解決しようとせず、医療機関へ相談することも大切です。