この記事では、肩こりの原因を診断するのではなく、自宅で情報機器を使うときの環境と過ごし方に絞って整理します。肩こりのセルフケアや受診目安を詳しく知りたい方は、デスクワーク中の肩こりに関するセルフケアと医療相談の目安を確認してください。
① 在宅ワークでは作業環境をまとめて見る
在宅ワークでは、仕事専用ではない机や椅子を使ったり、ノートPCだけで長時間作業したりすることがあります。こうした環境は首や肩の負担に関係することがありますが、症状だけから原因を特定することはできません。
「正しい姿勢」を固定し続けることよりも、画面・机・椅子・入力機器・足元をまとめて見直し、姿勢を変えやすい状態にすることが大切です。
② ディスプレイ・机・椅子・入力機器
ディスプレイ
厚生労働省の情報機器作業ガイドラインでは、画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる位置とし、視距離はおおむね40cm以上を確保することが目安として示されています。
数字を絶対条件にするのではなく、画面を見上げずに読めるか、文字が小さすぎないか、位置・角度・明るさを調整できるかを確認しましょう。
椅子と足元
椅子には深く腰掛け、背もたれを利用します。足裏全体が床に接する状態を基本にし、届かない場合は安定した足台を使う方法があります。座面の高さは体格に合わせ、脚が窮屈にならないようにします。
机
キーボード、マウス、書類などを無理なく置ける広さがあるか、脚の周囲に姿勢を変えられる空間があるかを確認します。机の購入を前提にせず、配置を整理するだけで操作しやすくなる場合もあります。
キーボードとマウス
肩や腕に無理な力が入り続けない位置で操作できるよう、机・椅子・ディスプレイと合わせて調整します。マウスは手に合う大きさか、キーボードは身体から遠すぎないかも振り返りましょう。
③ ノートPCを長時間使うときの工夫
ノートPCは画面とキーボードが一体のため、画面を見やすい位置にすると入力しにくくなり、入力しやすい位置にすると画面が低くなりやすい特徴があります。
長時間使う場合は、必要に応じてPCスタンドと外付けキーボード・マウスを組み合わせる、外部ディスプレイを使うなど、画面位置と入力位置を分けて調整する方法があります。特定の商品をそろえることが必須という意味ではありません。
④ 今ある作業スペースを調整する
ダイニングテーブルやリビングなど、一時的な作業スペースを使う場合もあります。新しい机や椅子をすぐ購入するのではなく、まずは次の点を確認してみましょう。
- 画面を見上げたり、極端にのぞき込んだりしていないか
- 椅子に深く座り、背もたれを使えるか
- 足裏が床や安定した足台に接しているか
- キーボードやマウスを自然に操作できる場所があるか
- 脚の周囲に姿勢を変えられる空間があるか
毎回同じ場所で作業できない場合も、画面・座り方・足元・入力機器を一つずつ調整する考え方は共通です。
⑤ 休憩と姿勢変更の考え方
完璧な姿勢を保ち続けることよりも、同じ姿勢を長く続けないことも大切です。作業の区切りで立つ、座り直す、別の作業へ切り替えるなど、姿勢を変える機会を作りましょう。
情報機器作業における労働衛生上の目安
厚生労働省のガイドラインでは、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10~15分の作業休止、一連続作業時間内に1~2回程度の小休止を設けることが示されています。
これは肩こりを治す時間ではなく、情報機器作業の負担を考えるための労働衛生上の目安です。仕事の内容や体調に合わせ、無理のない形で休止や小休止を取り入れてください。
在宅では仕事と休憩の境目が曖昧になりやすいため、休憩時は画面から離れる、飲み物を用意する、別の部屋へ移動するなど、作業を一度区切る方法もあります。
⑥ 軽い身体活動を安全に取り入れる
厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023では、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにし、今より少しでも身体を動かす考え方が示されています。肩こり治療として固定の時間や回数を決めるのではなく、作業の合間に立つ、少し歩くなど、生活の中で姿勢を変える機会として取り入れます。
肩をゆっくり動かす場合も、姿勢を変えるときの軽い動作の一例です。痛くない範囲で無理をせず、反動をつけないようにしてください。痛みやしびれが出る、症状が悪化する場合は中止します。
詳しいセルフケアは、肩こりのセルフケアと受診目安で確認できます。
⑦ 医療機関へ相談した方がよい場合
首や肩の症状にはさまざまな背景があり、記事だけで原因を判断することはできません。次のような場合はセルフケアだけで済ませず、整形外科などの医療機関へ相談しましょう。
- 症状が長く続く、または悪化している
- 強い痛みがある
- 腕や手にしびれがある、力が入りにくい
- 肩や腕を動かしにくい
- けがの後から症状がある
- 仕事や日常生活に支障がある
突然の強い症状、胸の痛み、息苦しさなどがある場合は、肩こりだけと決めつけず速やかに医療機関へ相談してください。
⑧ まとめ|環境と過ごし方を無理なく見直す
みおのまとめ
- 在宅ワークだけを肩こりの原因と決めつけない
- 画面・机・椅子・入力機器・足元をまとめて確認する
- 完璧な姿勢を固定せず、姿勢を変えられる環境にする
- 休憩時間の目安は肩こり治療ではなく、情報機器作業の負担を考えるために使う
- 強い症状や長引く症状は医療機関へ相談する
参考情報
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
- 厚生労働省「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」
- e-ヘルスネット「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨シート:成人版」
- 日本整形外科学会「肩こり」
参考情報は一般的な作業環境や健康情報です。個別の症状や原因を記事だけで判断するものではありません。
在宅の作業環境は、すべてを一度に買い替えなくても、画面や椅子、足元、入力機器を一つずつ確認できます。
症状の原因を姿勢だけに決めつけず、強い痛みやしびれ、長引く症状がある場合は医療機関へ相談してください。